ボツリヌス療法の
ご案内BOTULINUM

大曲リハビリテーションクリニックでは、脳卒中や脊髄損傷、その他の神経疾患などの後の手足のつっぱり(痙縮)でお困りの方に、ボツリヌス療法を行っています。

手足のつっぱり(痙縮)について

脳卒中や脊髄損傷、その他の神経疾患などの後遺症としてみられる運動障害のひとつに、手足のつっぱり(痙縮)という症状があります。手足が動かしにくくなったり、勝手に動いてしまう状態のことです。このような状態になると、手足の指が握ったままで開きづらい、肘が曲がったままで伸びづらい、足の先が足の裏側の方へ曲がってしまうなどの症状により、日常生活に支障をきたします。

手足のつっぱりで困るイラスト

手足のつっぱり(痙縮)の治療法について

手足のつっぱり(痙縮)の治療については、飲み薬による治療や神経ブロック療法、バクロフェン髄注療法、ボツリヌス療法などがあります。

ボツリヌス療法について

手足のつっぱり(痙縮)の治療のひとつとしてボツリヌス療法があります。ボツリヌス療法は、ボツリヌス菌が作り出すボツリヌストキシンと呼ばれるたんぱく質を有効成分とする薬を筋肉内に注射し、手足のつっぱり(痙縮)の改善を図る治療法です。

ボツリヌストキシンには、筋肉を緊張させている神経の働きを抑える作用があります。そのためボツリヌストキシンを筋肉内へ注射すると、筋肉の緊張をやわらげ、痙縮を改善することができます。ボツリヌス療法によって、「手足の筋肉が柔らかくなり、動かしやすくなる」、「リハビリテーションを行いやすくなる」、「関節が固まるのを防ぐ」、「介護の負担を軽減する」などの効果が期待できます。

当院では、開院から約3年間で延べ135人(実人数35人)の患者さんにボツリヌス療法を行ってきており、ほとんどの患者さんが現在も治療を継続しています。

※ボツリヌス療法では、ボツリヌス菌そのものを注射するわけではないので、ボツリヌス菌に感染する危険性はありません。

ボツリヌス療法の進め方

ボツリヌス療法は、注射後2~3日目から少しずつ効果があらわれるようになってきて、通常は約3~4か月持続します。その後、少しずつ効果が消えてしまうので、治療を続けるには3~4か月ごとに注射をすることになります。ただし、効果については個人差があるため、医師と相談しながら治療計画を立てていきます。

医師に相談するイラスト

治療スケジュール(例)

  1. 痙縮により困っていることを医師に相談し、治療の目標、初回の注射日を決めていきます。
  2. 注射を行います。
  3. 注射から1~2週間後に、効果を確認するための診察を受けていただきます。
  4. 注射から3~4か月後に、医師の診察を受けて次回の投与日を決めていきます。2回目以降は、2~4を繰り返します。

ボツリヌス療法の費用について

ボツリヌス療法は、グラクソ・スミスクライン株式会社の「ボトックス」、帝人ファーマ株式会社の「ゼオマイン」の2種類のお薬に医療保険が適用されますが、注射薬そのものが高価なため、治療費が高額(3割負担で2万円~8万円程度)になります。身体障害者手帳をお持ちの方などは、福祉医療制度の適用を受けることで自己負担分が無料になる場合があります。福祉医療制度については、お住まいの市町村の医療保険の担当部署へお問い合わせください。

ボツリヌス療法とリハビリテーションについて

ボツリヌス療法は、リハビリテーションを合わせて行うことで、より一層の効果が得られます。当院では、医師と理学療法士、作業療法士などが連携し、患者さんの希望を伺いながら治療を進めていきます。手足のつっぱり(痙縮)でお困りの方は、ぜひ当院までご相談ください。